30.11.2020

木材の音響的特性

木材は軽い素材のため、遮音性はあまり優れていません。厚みがあり表面の密度が高く滑らかな木材も遮音性はあまり優れていないため、木材だけでは吸収材としては不十分です。木材は木目に沿った方向の方が木目に対して直角方向よりも音伝導性が優れています。密度の高い木材構造は音を反響するように表面を滑らかにするのも簡単です。この特性は楽器やコンサートホールなどに活かされています。

木造の建物で十分な遮音性を確保するには、何層もの構造が必要です。ボードやパネルの裏に空気の層に加えて、断熱材やいわゆる共鳴板など多孔性の吸収材を使うことで、木材が振動したときに軽量構造材で問題となる低音を効果的に弱めることができます。さらに目板を張ったり、木材の表面に穴を開けたり、穿孔加工を施した共鳴板を使うことで、中高音も効果的に弱めることができます。

複数階の木造の建物では、遮音性を高める方法(個別の枠組や遮音設備など)が課題となっています。というのも、構造の剛性(補強、ジョイント、切れ目のない構造など)を確保する方法と逆の論理だからです。木造の床の足音の遮音性は、床の表面にコンクリートを流し込んで床の質量を高めたり、床の上面の柔軟性の高い層の上にタイル製の浮き床を張ることで改善されます。