30.11.2020

森林の生物多様性

フィンランドの自然の生物多様性を保護するために国の行動計画が策定され、その基礎となっているのは国連の生物多様性に関するコンベンションです。森林の自然生物の多様性の保護は、保護森林の増加、保護森林の品質の改善や復元、商用森林の自然な管理方法の開発により効果を上げてきました。

生息環境や商用森林では成長できない種を保存するためには保護地域が必要です。フィンランドにはこの目的のために保護されている商用利用に制限された保護地域が480万ヘクタールあり、そのうちの300万ヘクタールが森林(高生産性と低生産性の両方)で、森林の総面積の13%にあたります。実際に保護されている森林は220万ヘクタールで、そのうちの90%(200万ヘクタール)は厳しく保護されており、伐採は一切禁じられています。

「ナチュラ2000ネットワーク」を通して、EU地域の自然の生物多様性のための取り組みが行われています。地域社会が重要視している動物や鳥の生息域や種が保護対象として選ばれています。フィンランドのナチュラネットワークに含まれるほとんどの地域(360万ヘクタール)は既にいくつかの保護プログラムや保護の対象となっています。

腐朽樹木の数は森林の生物多様性を示す重要な目安と考えられています。絶滅の恐れがある森林種や影響を受けやすい森林種の生息環境は、商用森林の自然管理により腐朽樹木の数を増やすことで改善が可能になります。フィンランドには腐朽樹木に依存している種が4,000~5,000種あると見られ、これはすべての森林種の約1/5にあたります。さらに、木の洞に巣を作るオオアカゲラなど一部の種は腐朽樹木による保護や栄養分摂取に間接的に依存しています。

生物多様性の指標とは別に、腐朽樹木も森林の炭素貯蔵で大きな役割を果たしています。現在の森林管理の提案に従って、再生林で1ヘクタール当たり平均5~10本の保存樹や保存樹林が成長、腐朽する必要があります。伐採に関しては、枯れた立ち木、腐朽樹木、風や低木により倒れた樹木を守るための取り組みも行っています。

国家森林調査(VMI10)によれば、フィンランド南部の腐朽樹木(枯れた立ち木と低木)の数は増加しています。フィンランド北部でも枯れた立ち木の数は増えていますが、過去の調査に比べると低木の数は減っています。

種の保護の目的は、固有の種や定着した種の生息環境だけでなく、分布地域も保護することです。EUでは種の保護に関する規制、野鳥指令(Bird Directive)と生息地指令(Directive on the Conservation of Natural Habitats of Wild Fauna and Flora)を定めています。指令では種や生息地を保護することを義務付け、生息地内の林業やその他の利用を規制しています。

商用森林では、森林法に従って特に重要な生息環境の自然の状態、自然保護法に定められた自然の森林生息域やその他貴重な自然を保護することで動物の多様性が守られています。林業が原因で絶滅危惧種に分類されている種の半分以上が、こうした場所を主な生息域としています。また、既存の腐朽樹木、枯れていない立ち木、広葉樹の混合林の保護、および野焼きによる森林管理でも生物の多様性を考慮しています。